第7回「台本の読み込み方 Part1」

今日のテーマは

「台本の読み込み方」パート1

 

今回は簡単なテキストを使って、台本をどのように読み込めばいいのかについて3回に渡って説明したいと思います。

 

【テキスト「待ち合わせ」】

シチュエーションは、乾・山下・杉谷・上田の4人で時給の高いアルバイトに行く為に、大阪駅で待ち合わせをしている。既に15分過ぎているが、今は乾だけが到着している。(携帯電話は圏外である)

 

山下 「乾さーん、ごめん、ごめん」

乾  「まだ、上田さんも杉谷さんも来てないのよ」

山下 「どうしたのかしら」

乾  「(杉谷を発見)ああ、杉谷さーん、こっち、こっちよ」

杉谷 「すいません。出掛けに人が来ちゃって・・・あれ、上田さんは?」

乾  「それがまだなのよ、遅れちゃうわ」

山下 「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」

杉谷 「肝心な上田さんが遅れて、しょうがないわねえ」

乾  「あの人が言い出したのに・・・」

山下 「こんないいアルバイト、フイにしたら勿体ないわ」

杉谷 「ほんとねえ」

乾  「(上田を発見)あ! 来た、来た、上田さーん」

三人 「ああ、良かった・・・」

 

以上の内容です。

 

まず、これを読んでどんな状況かを、頭に映像化出来ましたか?

次に、台本とは出演者の一部を切り取って書き出された物がほとんどです。したがって、台詞を喋る前の時点から、芝居は始まっています。

 

では、ここで質問です。

乾さんはどんな気持ちで待っているでしょう?

「遅いなあ! 何やってるんだ!」と遅れている人に怒りを持って待っている芝居を考えた人。そんなに怒る程でも無いと考えた。何も考えなかった。その他。

あなたはどれですか?

 

・この場合、4人で待ち合わせをしている。

・時間が15分も過ぎている。

 

だとすると、乾さんは時間の経過と共に、自分が待ち合わせ場所を間違えているんじゃないかと不安になる。4人の待ち合わせで3人が来ない訳ですからそう読み取るべきです。

そして、山下さんが現れた時に、安心感と少しの怒りも現れる筈です。それらを表現しながら、次の台詞へ移って行く。この感情の動きを瞬時に行う必要があります。

 

「不安になる」と云うことが頭に思い浮かばなかった方は、台本に後から3人が来ることが書かれていたために、来る事を知っているので考えなかったのです。

演じる時は、瞬間瞬間の感情を読み取ることが必要です。

 

観ている人は、台詞だけを聞いてドラマの内容を理解している訳ではありません。感情の動きを観て理解し、感動しているのです。(ラジオドラマは表現方法が違います)

 

今日はこの辺で。

次回は、この続きを・・・。

お付き合いありがとうございました。

2019年2月1日