第19回「舞台の表現とカメラの表現①」

あけましてございます。
今年も、私が、役者、演出、映画監督を経験して感じてきたことをお話していきたいと思います。
ぜひお付き合いください。

さて、2020年1回目となる今回のテーマは、

「舞台の表現とカメラの表現①」

舞台での役者の演技法(表現)と、ドラマや映画のカメラに収める為の役者の演技法(表現)の違いについてお話します。

私は舞台の演出を数十年間、毎年やって来ました。そして昨年、初めて映画の監督を行いました。(日本放映プロ製作映画「はい、ええ転です。」の詳細はこちら
その映画の出演者には、舞台を何度も経験している人も多数出演されています。その時に感じた、舞台の演出家と映画監督の要求する表現の違いを話したいと思います。

まず、舞台の芝居から。
舞台は、客席から見える額縁(ステージと左右上の黒幕で仕切られた四角い範囲)の中で表現します。
ホールの大きさやステージの大きさによっても、表現方法は変わります。50人収容の客席の場合と、500人収容の客席の場合とでは、見せ方は変わります。
ただし、一番前に座っている方にも、一番後ろに座っている方にも、何処に座っているお客様であろうと、同じ感情が伝わる表現方法にする必要があります。
また、本番中はステージ全体を常に見られている訳ですから、舞台の上に立つ役者は全ての者が芝居をしていなければなりません。
もちろん、台詞を忘れる・動きを間違える・やり直すなどは、あってはならないことです。
スタッフの照明・音響・道具など裏方も芝居に合わせて、効果的に連動しなければなりません。舞台は生本番(live)ですから・・・。
役者の表現方法も客席の後ろまで、見せ・聞かせる芝居になる為、大きな動きや大きな声が必要とされます。

舞台は消え物です。お客さんの反応によっても芝居は変わって来ます。お客さんがよく笑いよく感動してくださると、芝居もそれに合わせてお客さんと一体化していきます。ですから、舞台の芝居は消え物と言われます。二回と同じ物は出来ないと言うことです。

舞台の醍醐味は、こちらが勝手に日時を決めた日に、チケット購入し交通費を払って見に来て、こちらが決めた席に上演時間の間(2時間弱が多い)座らせて、一方的に見せる・・・にも関わらず、いい芝居をすると「ありがとう」と言われる。これが、生の舞台のいいところです。

それに対して、カメラ前での芝居は、というと。。。

次回に続きます。
今日は、この辺で。ありがとうございました。

 

2020年1月1日