第21回「芸術の評価は観る側が決める」

表現者が常に意識しなければならないことの一つに、演じた表現の評価は誰がするか。
自分自身が評価することでは無いことは確かです。では、誰が・・・。それは、観ている側の観客やテレビの前の視聴者が決めるのです。

例えば、テレビ番組やドラマで例えると、作り手は面白い作品を作る為に企画から放送まで、ありとあらゆる力を結集して製作しています。しかし、作る過程の苦労や努力などを知らないテレビの前の視聴者が、「面白くない!」とチャンネルを替えると視聴率は落ち、番組は打ち切られて行きます。テレビ局にとっての視聴率は番組の評価を数値化した成績表です。
この視聴率は局の番組に、スポンサーがお金を出してくれるかどうかにもかかってきます。

そうだとすると我々は、観る側の気持ちを無視して演じることは出来ません。
しかし、観る側が自分の表現を受け入れるか否かは、演者には分かりません。
そこを、全ての責任において判断しているのが、演出家であり監督、ディレクターと呼ばれる人達です。(「役者と演出家の違い」でも記しています。)
この人たちは、視聴者と表現者の間に入り、全ての責任を持って、作り手の思いが視聴者に伝わる表現かどうかを判断していきます。ですから、全ての表現(照明・衣装・道具・カメラ・タレント…etc.)に支持を出すことが出来るポジションにいるのです。
表現者としては、その責任者の要求に答えられる表現力が必要になります。

芸術の評価は観る側が決めるのです。
表現者は、観る側が納得出来る表現を心がけると共に、要求された表現が出来る技術が必要になります。

我々が居て観客が居るのではなく、観客が居て我々の表現は活かされるのである。

今日は、この辺で、ありがとうございました。

2020年3月1日