第20回「舞台の表現とカメラの表現②」

今日のテーマは

「舞台の表現とカメラの表現②」

 

前回は舞台の芝居について触れましたが、今回はカメラ(映像)で必要な演技についてお話します。

 

まず役者(タレントを目指す人)の大半の人は、見せる・聞かせる・伝える為の芝居を学びます。もちろん、基本の基本ですから間違いではありません。すると、見てる側を客席として演じる為、舞台の芝居と同じ表現方法を先に習います。これも間違いではありません。むしろ見せる意識のない表現は、自己満足に過ぎません。

ですので、知らず知らずのうちに表現が大きくなっています。これが、テレビ・映画では、邪魔をすることがあります。

なぜなら、舞台と違い、テレビや映画は、カメラが役者に近付きます。アップになると顔のシワまで写ります。にもかかわらず、大きく動く癖や、大きな声で遠くへ飛ばす台詞まわしがカメラに収まりません。

テレビ局の方がよく劇団で芝居されている方は、芝居が臭いから(オーバーだ)と言われます。演者はオーバーアクションでないと、芝居をしている気がしないのです。

 

舞台は額縁の中で、どう動くかが必要ですが、テレビや映画はカメラのアングルの中でどう動くかが必要になります。また、カメラは寄ったり引いたりしてアングルの変化によって表現します。そのアングルに応じた表現方法が求められるのです。

 

もちろん、気持ちの動きは舞台も映像も変わりません。ですから表現方法の使い分けが必要なのです。歌舞伎役者の方が、ドラマや映画に出ていても歌舞伎の芝居はしていません。

 

私も映画を撮る時、出演者に言い続けたダメ出しは「芝居をするな!」でした。

舞台と映像。使い分けられる技術を身に着けてください。

 

今日は、この辺で、ありがとうございました。

2020年2月1日