第14回「レッスンや稽古では、汗をかけ」

日本放映プロのレッスン時には、動きやすい服装、ジャージなどに着替えてレッスンを受けるように伝えています。

我々の業界は体育会系ではなく、文科系です。ですが、普段着でレッスン会場に入りレッスンを受けて汗もかかずに帰れるほど楽な仕事ではありません。

確かに、ダンスの様に激しい動きを繰り返すわけではありません。セリフを読み、覚え、日常の会話の様なドラマを表現するだけかも知れません。だからと言って着替えることなくレッスンを受けるというのは、自ら身につけるべき表現力に規制をかけ成長を遅らせているのと同じです。

皆さんは正装(スーツやドレス)を着ると、ジーンズを履いている時とは動きが違うはずです。汚れないように、着崩れしないように、自分の動きを制限している筈です。

それと同じように、レッスン時に着替えていない人は、夏場なら汗だくになった服で電車に乗って帰りたくない。冬場なら汗をかいて表に出て、風邪を引かない様にと動きを制限します。

ラジオ体操でも一生懸命やれば汗ばみます。なのに、表現者としてテレビや舞台に出て、ギャラ(出演料)をもらおうとしている者が、自分の技術を磨くためのレッスンや稽古で、汗をかくことを嫌がっていては、一人前のタレントになれる訳がない。

レッスン会場や稽古場では、気持ちを表現するために、床に座ったり転がったりして、汗をかき、自分の表現力を磨き上げていくのです。

 

ある演出家の方は、「演劇はスポーツだ」と言っています。私も同感です。

自分の中にある感情を思い切って、出す(表現する)事によって観ている人にその感情が伝わるのだと思います。

演者はセリフや身体の動きを使って、観ている人に気持ちを伝えるのが仕事です。その為には、人一倍の鍛錬と努力が必要なのです。

 

ですから、レッスン会場や稽古場では「汗をかく」のが常識だと思って、衣服と一緒に心も着替えてレッスンに励んでください。

 

今日はこの辺で、ありがとうございました。

2019年8月1日