演出上野のブログ一覧

2019年05月01日

第11回「出演の為のオーディション」

本日、元号が改められ令和となりました。
新しい時代に、新しい羽ばたきをする皆さんに、今日は「出演の為のオーディションについて」少しだけ書きます。

 

広告代理店や制作会社がテレビCM(コマーシャル)などの出演者を決める為に、オーディションを行います。これは一般公募で行われるオーディションではありませんので、当社のような芸能事務所に依頼が来るオーディションのことです。

 

このオーディションは、制作会社側から年齢・性別・身長・体重・見た目の雰囲気・個性や演技力の有無など細かく指定されて依頼されます。その条件に合う人を事務所側が数名ピックアップして提出します。

そのままオーディションになる場合も有りますし、書類審査で絞り込まれる場合もあります。(書類審査が有る場合が多いと思います。)

 

ここで忘れてはいけないのが、当社のタレントだけが参加している訳では無いということです。他社にも同じ条件で出演者候補を募っているのです。ライバルは、そのオーディションに呼ばれているタレント全員です。

そしてこの中から今回一番キャラクターが合い、実力の伴った人が選ばれ撮影となります。

 

初めてオーディションに行った人の中には、選ばれなかったと落ち込んでいる人がいます。

私はそんな時、こんな話をします。

例えば全事務所からオーディションに参加した人が30名いたとします。その中で出演が決まるのは1人だとしましょう。という事は、数学的確率から言うと30回オーディションに参加しないと1回受からないという事です。1回落ちて29名に入ったからと悲観する事はない。

ただし、『オーディションまでの間に何をしたか』、『聞いている情報の中で最善の準備をしたか』は、考え直してみましょう。例えば、ホテルマンの役でオーディションを受けるのに、ホテルマンはどんな仕事をし、どんな立ち居振る舞いをするのか。知らないままで受けても落ちるのは当然です。やる事をやって選ばれなかったのであれば、相手が求めているキャラクターと合わなかっただけです。

 

ならば30回受ける事を考えましょう。その為には、キャラクターの幅を広げる実力と事務所に信頼される関係性を築きましょう。受ける回数が増えれば、受かる確率も増えて出演の機会も訪れます。

 

それと忘れてはならないのは、オーディションに行った先で日本放映プロには○○というタレントがいるんだということを、いい意味で印象に残して来ることを心がけましょう。

次回作でキャラクターが合えば、指名で呼んでもらえるようになります。

 

今日は、このへんで終わります。
令和の時代、みなさんが大きな飛躍を遂げることを楽しみにしています。

 




2019年04月01日

第10回「ちょっとくらい出してくれても」

テレビやCMに「ちょっとくらい出してくれても・・・」について書きます。

 

レッスンを始めたばかりの人が、テレビのエキストラやテレビCM(企業コマーシャル)などの端役に「ちょっとくらい出してくれても良いのに・・・」とおっしゃる方がいます。

CMの場合ならスポンサーであるクライアントとご本人が相当親しい仲で、クライアントから指名でもない限り特別に出演をする事は、難しいでしょう。

 

なぜなら、「じゃ、ちょっとだけですよ」って出演させて、そのCMのグレードが落ちた作品になれば、二度と依頼はありません。

CMを一本撮るにもスタッフや関係者は仕事として、生活を掛けて必死に撮影しています。家族を守るため、次の仕事に繋げるために戦ってます。

皆さんの仕事と同じです。

 

ですから「少しくらい」は無いんです。

その為に、当社の様な事務所に細かいキャラクターや演技力まで指定して依頼が来るのです。

 

では、どうすれば出演できるのか。一番大事なのは事務所との信頼関係を築くことです。事務所は会社の看板を背負って(責任を持って)推薦します。信頼が持てないタレントはキャラクターが合っていても残念ながら出せない。無理して出して現場で問題が起これば今後、その制作会社から当社への仕事は無くなります。一人のために所属タレント全員が迷惑をこうむることになるからです。

 

次に大事な事は、技術によって幅広いキャラクターを演じられる演技力です。幅広いキャラクターは仕事の幅を広げ、出演のチャンスも広がります。

 

焦らず一つ一つ確実に身につけることが一番の早道です。

 

今日は、このへんで終わります。次回は、「出演の為のオーディションについて」を、お話します。

 

 




2019年03月15日

第9回「台本の読み込み方 Part3」

今日のテーマは

「台本の読み込み方」パート3

 

今回も前回、前々回の続きです。

前回と同じテキストを使って説明します。(今日初めての方は前回までのパート1パート2もご覧ください。)

 

今回は台詞を覚える為に必要な、読み込み方について説明しましょう。

6回目の「演じるとは、日常の再現と想像」でも話しましたが、台本の台詞(言葉)には

感情が入っていないと話し言葉には成りません。

では、どのような感情を乗せて行くのかテキストを使って説明します。

 

【テキスト「待ち合わせ」】

シチュエーションは、乾・山下・杉谷・上田の4人で時給の高いアルバイトに行く為に、大阪駅で待ち合わせをしている。既に15分過ぎているが、今は乾だけが到着している。(携帯電話は圏外である)

 

山下 「乾さーん、ごめん、ごめん」

乾  「まだ、上田さんも杉谷さんも来てないのよ」

山下 「どうしたのかしら」

乾  「(杉谷を発見)ああ、杉谷さーん、こっち、こっちよ」

杉谷 「すいません。出掛けに人が来ちゃって・・・あれ、上田さんは?」

乾  「それがまだなのよ、遅れちゃうわ」

山下 「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」

杉谷 「肝心な上田さんが遅れて、しょうがないわねえ」

乾  「あの人が言い出したのに・・・」

山下 「こんないいアルバイト、フイにしたら勿体ないわ」

杉谷 「ほんとねえ」

乾  「(上田を発見)あ! 来た、来た、上田さーん」

三人 「ああ、良かった・・・」

 

以上の内容です。

 

まず、台本の台詞を話したくなる感情づくりには、登場人物の性格付けが必要です。(前回のパート2性格付けを参考にしてください。)また、相手との関係性も必要でしょう。

 

では、山下さんの場合から見て行きましょう。

初めの台詞が「乾さーん、ごめん、ごめん」と言ってます。「乾さーん」と名字で呼んでいることから、深い友人ではなさそうです。しかし、「ごめん、ごめん」と言っているので同年輩だと思われます。この台詞は遅れたことへの、友達への社交辞令的なお詫びの感情と考えましょう。

次の「どうしたのかしら」は、乾さんの台詞で「まだ、上田さんも杉谷さんも来てない・・」と言う言葉を受けて、アルバイトが出来なくなることを心配した感情で「どうしたのかしら」と上田さんを探す感情。

次の「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」の喋りたくなるきっかけは、これも乾さんの「それがまだなの、遅れちゃうわ」を聞いて、もしかして誰か上田さんから道順を聞いていないかなと思い「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」と二人に確認も込めた感情で聞く台詞と考える。

 

最後は遠まわしに道順のことを聞いたけど、杉谷さんも乾さんも道順を聞いていないことが分かったので、高額なアルバイトが無くなる心配で「こんないいアルバイト、フイにしたら勿体ないわ」と愚痴る感情になる。

 

このように、自分の感情は前の人が話す言葉によって、その都度変って行くと考えると、次の台詞は「何だっけ」と思い出しながら、活字を追いかけなくても台詞は出てきます。

台詞は、感情で覚える事です。

 

 

乾さんの場合を見てみましょう。

一人で待っている間は、自分が待ち合わせ場所を間違えて、皆に迷惑を掛けているんじゃないかと不安になっていたが、山下さん来たことで今一番気になっているのは、バイト先に遅れて迷惑を掛けることへの心配と、二人がまだ来ない不満の感情で待っている。

山下さんの「ごめん、ごめん」に対して「まだ、上田さんも杉谷さんも来てないのよ」は、遅れている二人への不満の感情の表れです。

 

乾さんだけが杉谷さんのも上田さんも発見するのは、ずっと二人を探しているからです。

「(杉谷を発見)ああ、杉谷さーん、こっち、こっちよ」この台詞は、杉谷さんが目の前を通り過ぎようとしているので、慌てた感情で居場所を教える台詞。

 

次に「それがまだなのよ、遅れちゃうわ」は、杉谷さんの「・・・あれ、上田さんは?」を受けて、道順を知っている上田さんが遅れていることへの不満の感情と始めて行くバイト先へ遅れて行きたくない感情の台詞。

 

そして「あの人が言い出したのに・・・」は、二人の台詞を受けて、上田さんの責任感の無さへの怒りの感情が湧き、それを抑えている台詞。

 

「(上田を発見)あ! 来た、来た、上田さーん」の台詞は、おそらく必死に走ってくる上田さんを見つけた時の喜びと安心感の感情でしょう。

そして、発見するタイミングは2回とも、話が続きそうでは無い台詞の後です。

 

 

では、杉谷さんの場合を見てみましょう。

乾さんから「こっち、こっちよ」と呼ばれるまでは、次の角を曲がった所が待ち合せ場所だと思っていたので、角を曲がる辺りから走ればいいとゆっくり歩いていたところを呼ばれて、慌てて誤魔化す為に、笑いながらの「すいません。出掛けに人が来ちゃって」そして「・・・」は上田さんが居ないことに気付き、遅れているのかトイレにでも行っているのかを確認する為に「あら、上田さんは?」と乾さんに確認の為に聞く。

 

次の「肝心な上田さんが遅れて、しょうがないわねえ」は山下さんの「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」を聞いて、上田さんが遅れていること知って自分の遅刻より上田さんの遅刻の方が、罪が重いことを印象つける為、上田さんを攻める感情の台詞。

 

最後の「ほんとねえ」は山下さんの「こんないいアルバイト、フイにしたら勿体ないわ」

に同調し、無責任な上田さんを攻める感情。(井戸端会議的な)

 

そして、最後の「ああ、よかった・・・」は三人それぞれの思いの中で、これまでの会話は無かった事にして、アルバイトに行こうと思う感情の台詞。

 

 

このように、台詞から性格やそれぞれの感情を創り出すと短いテキストの中でもドラマは創り出せます。

少し極端に思われても、それくらい創り上げないと三人の個性が出ず、何の話しかわからなくなります。これを演じてみると、意外とリヤルな芝居になります。

台詞は気持ちがあってこそ、出て来るものです。その台詞を喋りたくなる気持ちの発見こそが、台詞を覚えるコツです。

機会があれば、お友達と練習してみてください。

 

 

今日はこの辺で。

お付き合いありがとうございました。




2019年03月01日

第8回「台本の読み込み方 Part2」

今日のテーマは

「台本の読み込み方」パート2

 

今回は前回の続きです。

前回と同じテキストを使って説明します。(初めての方は前回のパート1もご覧ください。)

 

初心者が台本を読む場合、登場人物が多くなると誰が誰か、分かりにくくなります。どの台詞を誰が話しているのかが明確にならず、台詞が覚えにくくなります。

今日はそれを解消しましょう。

 

【テキスト「待ち合わせ」】

シチュエーションは、乾・山下・杉谷・上田の4人で時給の高いアルバイトに行く為に、大阪駅で待ち合わせをしている。既に15分過ぎているが、今は乾だけが到着している。(携帯電話は圏外である)

 

山下 「乾さーん、ごめん、ごめん」

乾  「まだ、上田さんも杉谷さんも来てないのよ」

山下 「どうしたのかしら」

乾  「(杉谷を発見)ああ、杉谷さーん、こっち、こっちよ」

杉谷 「すいません。出掛けに人が来ちゃって・・・あれ、上田さんは?」

乾  「それがまだなのよ、遅れちゃうわ」

山下 「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」

杉谷 「肝心な上田さんが遅れて、しょうがないわねえ」

乾  「あの人が言い出したのに・・・」

山下 「こんないいアルバイト、フイにしたら勿体ないわ」

杉谷 「ほんとねえ」

乾  「(上田を発見)あ! 来た、来た、上田さーん」

三人 「ああ、良かった・・・」

 

以上の内容です。

 

まず、登場人物の性格付け行いましょう。上記のテキストの書かれていることだけで、それぞれの性格を考えてください。

乾さんの性格は? 山下さんの性格は? 杉谷さんの性格は?

 

それぞれ、つくれましたか。

では、乾さんから見てみましょう。

時間通りに来ていることから、時間に正確な真面目な性格。ここまでは、皆さん読み取っていると思います。ここでもう一つ読み込むと、こう言ってます「それがまだなのよ、遅れちゃうわ」と、これはバイト先に遅れることを気にかけ、バイト先の人に対して気を使っている台詞です。気遣いが出来る性格がプラスされます。

 

山下さんを見てみましょう。

山下さんは、走っては来ているが15分も遅れている。このメンバーで15分の遅れは問題ないと計算している節がある。そして、こう言ってます「こんないいアルバイト、フイにしたら勿体ないわ」と、上田さんが遅れている理由よりもアルバイトが無くなる心配をしてます。お金に対しては3人の中で一番細かい人ではないか。

またこうも言ってます「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」と、この台詞から道順が分かれば、上田さんを置いてバイト先に行くつもりなんだろう。そんな性格が想像出来ます。

 

次に、杉谷さんは遅れて来て乾さんに「こっち、こっちよ」と声を掛けられています。と言うことは、場所を勘違いして歩いている姿が浮かびます。

そして、こう言ってます「出掛けに人が来ちゃって・・・」と言い訳をしながら上田さんが居ないことを確認し、話を上田さんにすり替えてます。また、こうも言ってます「肝心な上田さんが遅れて、しょうがないわねえ」と、自分が遅れたことは棚に上げて上田さんを攻めています。このことから、ずる賢い性格が読み取れます。

 

このように、大胆に3人の性格を分類すると読みやすくなり、台詞も覚えやすくなります。

 

今日はこの辺で。

次回は、この続きを・・・。

お付き合いありがとうございました。




2019年02月01日

第7回「台本の読み込み方 Part1」

今日のテーマは

「台本の読み込み方」パート1

 

今回は簡単なテキストを使って、台本をどのように読み込めばいいのかについて3回に渡って説明したいと思います。

 

【テキスト「待ち合わせ」】

シチュエーションは、乾・山下・杉谷・上田の4人で時給の高いアルバイトに行く為に、大阪駅で待ち合わせをしている。既に15分過ぎているが、今は乾だけが到着している。(携帯電話は圏外である)

 

山下 「乾さーん、ごめん、ごめん」

乾  「まだ、上田さんも杉谷さんも来てないのよ」

山下 「どうしたのかしら」

乾  「(杉谷を発見)ああ、杉谷さーん、こっち、こっちよ」

杉谷 「すいません。出掛けに人が来ちゃって・・・あれ、上田さんは?」

乾  「それがまだなのよ、遅れちゃうわ」

山下 「上田さんが来ないとわからないでしょ、道順?」

杉谷 「肝心な上田さんが遅れて、しょうがないわねえ」

乾  「あの人が言い出したのに・・・」

山下 「こんないいアルバイト、フイにしたら勿体ないわ」

杉谷 「ほんとねえ」

乾  「(上田を発見)あ! 来た、来た、上田さーん」

三人 「ああ、良かった・・・」

 

以上の内容です。

 

まず、これを読んでどんな状況かを、頭に映像化出来ましたか?

次に、台本とは出演者の一部を切り取って書き出された物がほとんどです。したがって、台詞を喋る前の時点から、芝居は始まっています。

 

では、ここで質問です。

乾さんはどんな気持ちで待っているでしょう?

「遅いなあ! 何やってるんだ!」と遅れている人に怒りを持って待っている芝居を考えた人。そんなに怒る程でも無いと考えた。何も考えなかった。その他。

あなたはどれですか?

 

・この場合、4人で待ち合わせをしている。

・時間が15分も過ぎている。

 

だとすると、乾さんは時間の経過と共に、自分が待ち合わせ場所を間違えているんじゃないかと不安になる。4人の待ち合わせで3人が来ない訳ですからそう読み取るべきです。

そして、山下さんが現れた時に、安心感と少しの怒りも現れる筈です。それらを表現しながら、次の台詞へ移って行く。この感情の動きを瞬時に行う必要があります。

 

「不安になる」と云うことが頭に思い浮かばなかった方は、台本に後から3人が来ることが書かれていたために、来る事を知っているので考えなかったのです。

演じる時は、瞬間瞬間の感情を読み取ることが必要です。

 

観ている人は、台詞だけを聞いてドラマの内容を理解している訳ではありません。感情の動きを観て理解し、感動しているのです。(ラジオドラマは表現方法が違います)

 

今日はこの辺で。

次回は、この続きを・・・。

お付き合いありがとうございました。




2019年01月04日

第6回「夢を追いかけられる幸せ」

新年あけましておめでとうございます。

皆さんお元気ですか?

最近つくづく、健康が何者にも勝る幸福だと感じます。

 

今日は「夢を追いかけられる幸せ」

このテーマで、書いてみたいと思います。私も四十数年前に芸能界に飛び込みました。何も出来ない少年が、憧れだけで飛び込んだ世界です。私のきっかけは友人に雑誌を見せられ「お前、こんなの好きなんじゃない?」って渡された事から、話が盛り上がり、盛り上がったまま、今もこの世界に居ます。

 

きっかけなんてものは、何でもいいと思います。新しい出会いが人の視野を広げ、考えてもいなかった世界へと飛び込んで行く。そして、また新しい出会いが出来、人生を変え成長させてもらえる。私がこんなに長く芝居に携われるとは思ってもいませんでした。

この四十数年間で数多くのライバルや仲間と出会ってきましたが、今もこの業界で芝居に携わっている者は極わずかです。

それぞれに離れて行った理由はあると思うのですが、自分の意思で離れて行った者は別として、家庭環境など周りの環境が続けたくても続けられなかった者も多く見て来ました。(本人はさぞ悔しかったであろう)

 

好きな事を続けられる人の方が少ないのだと思います。色々な運やタイミングが人生を変えるのでしょう。それだけに、夢を追い続けられる幸せは自分だけで作っているのではなく、周りの環境が続けさせてくれている、そのことに感謝しなければいけないとつくづく思います。

 

ですから私の願いは・・・今「夢を追いかけている人」は今の環境に感謝し悔いを残さない様に、精一杯走って貰いたいと・・・。

 

今日はこの辺で。

お付き合いありがとうございました。

本年もよろしくお願いいたします。




2018年12月01日

第5回「演じるとは日常の再現」

今日のテーマは

「演じるとは日常の再現と想像力」

 

入ったばかりの生徒さんの中には「思ってたより演じるって、難しいですね」と言われる方が結構います。

確かにドラマや映画で役者さんが、台詞を簡単に会話の言葉にしているのを聞くとそう思えるのも無理はありません。皆が日頃使っている言葉を話しているだけですから・・・。

と言うことは、演じること(話し、動く)は日常の再現だと言うこと。ならば日常を再現することが出来れば、俳優に近付けると言うことです。

ただし、その為には話す台詞(言葉)に感情が入っていないと学芸会の棒読み芝居になってしまいます。

 

日常の中で自分の話す言葉と感情がどう動き、どう変化しているかを覚えておく必要が有ります。日常生活の喜怒哀楽を、気持ちの変化を冷静に観察するのは大変難しい事ですが、挑戦する意味はあります。

日頃から表現者として、意識していれば不思議と身に付くものです。

 

また、日常で再現できない事、例えば殺人を犯す犯人役や殺されていく被害者など、日常では体験できない感情や身体の動きなどは想像力で補う必要が有ります。

 

表現者とは日常の体験を再現し、観察力と想像力で新たなものを創りだすものだと私は考えています。

平凡に見える日常に興味を持ってみましょう。新しい発見があるかも知れません。

 

今日はこの辺で。

お付き合いありがとうございました。




2018年11月01日

第4回「レッスン内容は理解が必要」

今日のテーマは

「レッスン内容は理解が必要」

タレントのレッスンには、様々な内容のものが有ります。タレントや役者は自分の身体と声を使って、表現しなくてはなりません。(レッスンの必要性についてはこちらを

身体や声を使いこなすには、頭(脳)や心(感情)の動きもコントロールする必要があります。

 

例えば

発声では、息をどこに入れどこの力を使ってどう出すのか。また、その息を出す時、顔面のどの部分に当て響かすのか。するとどれくらいの音量の声がどの程度まで届かすことが出来るのかなど。理論で教わる事を実際に自分の身体と声を使って行わないと自分のものにはなりません。ところが頭で理解した事を身体で表現するのはなかなか難しいものです。

そこで、各先生方はあの手この手とレッスン内容を考え行っています。中にはゲーム形式で行ったり、内緒話のように静かに、声に意識を集中させて話し、相手役に伝えるコツを教えるなどして、自分の声に興味と責任を持って貰える様に試行錯誤しています。

 

ここで、大切なのはレッスンを受けている側が、何の為のレッスンなのか、このレッスンが何に役立つのかを充分に理解していないといけないと云うことです。

 

中には、「今日のレッスンは、ゲームで時間つぶししてたんだわ」と思っている人も居ると聞きます。

『何の為のレッスンか』を理解していない人にとっては、遊びのゲームでしかないでしょうが、時間をつぶすだけなら、高度の事をやれば幾らでも時間は必要になり、時間はあっと言う間に過ぎます。先生の時間つぶしでは無いのです。

先生がもし何の為に行う訓練なのかを説明しない場合は、勇気を持って必ず聞きましょう。大事な時間を意味の無い時間にしないためにも、レッスン内容は理解する必要が有ります。

 

今日はこの辺で。

お付き合いありがとうございました。




2018年10月15日

第3回「表現に正解不正解はない」

今日のテーマは

「表現に正解・不正解は無い」

演出家や映画監督が役者さんに向かって「そうじゃない! 違う! 下手くそ!」と言っているシーンを目にしたことがあると思いますが、では何が違うのか? 正解は何か?

 

表現とは何か。

例えば、画家の世界で言えば真っ白なキャンパスに、一筆入れてこれが作品ですと言えばその作品は成り立ち、表現者としては正解の表現です。もちろん、見る人にそれが作品に見えるかどうかは別としてですが。したがって、表現者が表現した段階で表現としてはすべて正解です。

 

では、なぜ役者は映画監督や演出家から「違う」と言われるのか。それは、映画監督や演出家が求めているものと違っているからです。

 

画家は、作品の責任はすべて画家本人が持ちます。しかし、役者は映画や舞台の表現者でありながら、作品のすべての責任を持つことはありません。

作品のすべての責任は映画監督や演出家が持ちます。そして、そのすべての責任を持つ者は、作品を良くするために役者やスタッフに対し、指示・指導していくのです。その際に自分の意に沿わない場合に「違う!」と言っているのです。

 

ですから役者は、責任者である映画監督や演出家の求めていることを理解し、その要望に応える表現をしなければならないのです。

その要求に答えるためには、それだけの表現技術のバリエーションを身に付ける必要が有ります。

そして、その要求に答えられる者だけが、次の作品に呼ばれるのです。

 

それでは今日はこの辺で。




2018年10月01日

第2回「才能の有無」

今日は

「才能の有無について」

マスコミのオーディションで落ち自分に自身が無くなったり、思うようないい役に付けなかったり、今までのペースでオファーが来なくなったりすると、よく「私には才能が無いんですか」と聞かれることがある。

そこで今日は、《才能とは何か》について話してみたいと思います。

私ごときの定義は後に回し、著名人の「才能とは」について語っている記事を抜粋してみます。

 

宮崎駿(映画監督・アニメーション作家)

「才能とは 情熱を持続させる能力のこと」

 

ジョン・レノン(イギリスのミュージシャン ビートルズメンバー)

「根本的な才能とは、自分に何かが出来ると信じることだ」

 

村上春樹(小説家)

「才能とは何か? 僕もときどき(そんなしょっちゅうではありませんが)それについて考えます。それで思うんですが、ものすごく特別な、巨大な才能を例外にすれば、何かに目標を定めて、ずっと努力し続けられる力こそが才能の中核ではないでしょうか。(Twitterより)」

 

マリリン・モンロー(女優)

「たとえ百人の専門家が、あなたには才能がないと言ったとしても、その人たち全員が間違っているかもしれないじゃないですか。」

 

海堂尊(小説家・医師・医学博士)

「素質と才能は違うんだ。この世の中には、素質があるヤツなんて、実は大勢いる。河原の石ころくらいごろごろしている。才能とは、素質を磨く能力だ。素質と才能、このふたつを持ち合わせている人間は少ない。素質と才能の違い、それは努力する能力の差なんだよ。」

 

(才能とは何か!色んな分野の才能たちが発した「才能」の定義!!! サイトより引用

しています。https://matome.naver.jp/odai/2137018896541834501

 

さすがに、なるほどと頷けるコメントばかりですね。

私の考える才能とは、そのことにどれだけ時間を費やすことが出来るかだと思っています。人には神様から平等に与えられたものが有る。それは1日24時間という時間です。金持ちも貧乏人も、健康な人も身体の悪い人も、どんな人にも与えられた同じ時間の中で、費やす時間が長ければ長いほど上達する。

 

好きな事には時間をかけても苦になりません。

「好きこそものの上手なれ」、今やっていることが好きか否かが大切で有る。

才能が有るか無いかは、そのことが好きかどうかで決まると思います。

 

最後に同じサイトの中で、竹中直人さん(俳優)がこう言ってます。

「落ち込むって才能だよね。落ち込まない人はそれでいいと思っているから、決して今より上にはいけない。才能があるから落ち込むんでしょ。」

 

今日はこの辺りで。